生まれたての赤ちゃんは、無条件にかわいいもの。よく、子供は3歳までに親孝行を終えるといわれるくらい、小さいころは可愛いものだ。それは、人間だけに限ったことではない。神様が小さいものはすべからく可愛らしくお創りになったと聞いたことがある。それは、小さいうちは、何よりも大切に、可愛がって育ててもらえるようにという意味らしい。
しかし、最近ニュースやドキュメンタリー番組で、子育てを放棄した動物の話を耳にする。
白くまやパンダなどさまざまな種類の動物の母親が、産んだ後子育てを放棄するというのだ。
その赤ちゃんの愛らしさ、飼育担当者のご苦労など、感動をあたえる内容なのだが、
ふと考えると、「どうして母親が子育てを放棄してしまったのか」という問題には触れられていない。
人間についても、幼児虐待や子殺しなど問題は頻発してきている。
経済的に貧しかった時代には、親は自分が食べずとも子供にだけは、という話はよくあった。
しかし、飽食の時代、食するにも困らず、生活・生命の危機にもさらされることのない、平和な時代になって、『子孫を残す』という本能は希薄になってきてしまったのではないだろうか。
子育てを放棄したチンパンジーの母親を思うとき、少子化問題でとりあげられる、結婚しない、子供を産まない現代女性と、ダブるように感じられた。
(2005.08)
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